幼い時の記憶である。
母は歩けない兄を背負い、わたしの手を引いて歩いている。
或いは兄を乳母車に乗せ、わたしにその横を歩かせている。
そんなわたしたちの様子を見て、こんな風に声を掛けてくる人がいた。
『何で大きい子を乳母車に乗せているの』
『大きいのにおんぶが好きなのね』その人にとっては、何気ない一言だったのだろう。
でもその人は次の言葉を聞いて、自分の発した言葉をきっと後悔したことだろう。
『この子は歩くことができないんです』 こんなやり取りを実際に何回聞いたのかは覚えていない。
たった1回だったかもしれないし、何度も聞いたのかもしれない。
わたしはとても幼かったけれど、幼いなりに考えた。
『負けちゃいけない!強くならなければならない!』と。
わたしは兄のおかげで弱虫にも泣き虫にもならずにすんだ。
でも女としては少し(?)気が強くなり過ぎたかもしれない(苦笑)
昨日見た虹の橋。
よく見ると虹は2本掛かっている。
こんな虹を兄とも見たことがある気がする。