マリは父の愛猫でした。我が家で飼った初めての猫でした。
美しいキジトラの毛並みと、魅力的なエメラルドグリーンの瞳の持ち主でした。
おっとりとした性格の子で、抱っこがとても大好きでした。
名前のせいでよく女の子に間違えられましたが、マリは男の子。
優しい性格なのに喧嘩は滅法強く、大きな縄張りを持つボス猫でもありました。
父に抱っこされているマリ。父の手にはリードがある。
ボス猫と言ってもマリは放し飼いにされてはいませんでした。
いつも父と一緒にお散歩をしていました。
マリは広大な縄張りを父と一緒に点検して歩いたのです。
リードで歩く猫と中年男性・・・・二人の姿はマンション中で有名でした。
動物が好きな人は好意的な目で見てくれましたが、なかには父を馬鹿にしている人たちもいました。
お散歩中のマリ。左側には父がいる。
本当に美しく強かったマリ、でもある日を境に弱りだしました。
風邪のため高熱を出し、ご飯も食べなくなりました。
父は一生懸命看病しました。
マリが食べてくれそうなものを見繕ってきて食べさせました。
食べられるようになったマリは、何とか持ち直しました。
でも以前のような健康体にはなりませんでした。
病み上がりのマリ。美しかった毛並みがボロボロになっていた。
傍にいるのはまだ幼いチョロ。チョロはマリに本当に可愛がってもらった。
我が家の猫はいつの間にか三匹に増えていました。
仔猫好きな優しいマリは、小さな妹たちを可愛がってくれましたが、
少し淋しい想いをしていたかもしれません。
自分が甘えたくても、妹たちに譲って我慢している・・・・マリはそんな性質の猫でした。
父に抱っこされている3ニャンズ(左からポン、マリ、チョロ)
まだ保護されたばかりのポンはとても愛らしい。
そしてある日、マリの傍から父がいなくなりました。
1999年9月2日、父は急性骨髄性白血病で入院したのです。
治療期間は一年という長期にわたるものでした。
マリは暫くの間、夜になると狂ったように泣き叫び続けました。
父を必死に探していたのかもしれません。
そんなことが10日も続いたでしょうか・・・・・
ただでさえ弱っていたマリは、心筋梗塞の発作を起こすようになりました。
そして発作のたびにどんどん弱っていきました。
マリの闘病期間は約一年、父と共に病魔と闘い続けました。
2000年7月20日、マリは私の腕の中で静かに息をひきとりました。
全盛時5.5kgあった体重が、3kg以下になっていました。
父の退院はその年の10月のことでした。
晩年のマリ。
発作を起こすようになってからは、大好きな抱っこも出来なくなっていた。
抱っこの姿勢が苦しかったようだ。