「ミリキタニの猫」
2006年/アメリカ/74分/
監督:リンダ・ハッテンドーフ
出演:ジミー・ミリキタニ、リンダ・ハッテンドーフ、ロジャー・シモムラ、ジャニス・ミリキタニ
8月14日 会場:ヤクルトホール
2001年、リンダ・ハッテンドーフはソーホーでジミー・ミリキタニから絵を買う。その後、彼の路上生活を撮影し始めるが、9.11のテロが起きる。濃い煙の中で咳をしながら絵を描き続けるミリキタニを見かねた彼女は、彼を自分のアパートに連れて行く。その日から画家と監督と彼女の飼い猫の不思議な共同生活が始まる。
まずは、「猫」というタイトルに反応。
映画の内容を読んで、一人の人間のドキュメンタリーということを知りました。
なぜ猫の絵を描くようになったか、どんな戦後を送ってきたのか。
なんとなく興味が出て、試写会に応募。
「ミリキタニ」とは、漢字で書くと「三力谷」さんという名字です。
絵を通して、ミリキタニさんの戦後がわかってきます。
強制収容所の絵が何枚も何枚も。
そして、猫の絵を描く理由も悲しいものでした。
日系ということで、アメリカ国籍を剥奪されて、
日本人強制収容所に入れられてしまった。
同じ収容所に入れられた姉家族とはそれ以来会えていない。
その後は、仕事をしていたが、
いつの頃からか路上で絵を描いて生活をするように。
映画は、多くの人がそうだったように、
ミリキタニさんの戦後も辛く悲しいものだったけれど、
彼はどんな生活をしようとも、芸術家としての誇りを忘れず、
反骨精神も忘れず、そしてやさしさも持ち合わせた人ですね。
おちゃめさんだし(^^)
なぜ戦争があるのか、テロなんてバカなことが起こるのか。
映画の中で、911のテロのときに、
ミリキタニさんは、かつて日系人が経験したようなことを、
アラブ系アメリカ人に起こるのではないかと心配をする。
ご存知のとおり、結局は集団ヒステリー状態となり、
何も関係もない一般のアラブ系の人が標的にされてしまった。
人間はなぜ、怒りのあとに何か報復をする対象を見つけずにはおれないんだろう。
怒りから生まれるものが、怒りや悲しみ憎悪、そしてむなしさという、
負のものでしかないのに。
もっとみんな太陽(北風と太陽の太陽ね)になればね〜って思うけど、
太陽やってたら、なめられてしまうんですよね。
難しい世の中だこと。
これからも起こるんだろうな。
それでも、この映画のリンダのように、
ミリキタニさんにかかわってきた周りの方のように、
世の中捨てたもんじゃない、いいとこいっぱいあるじゃん、という、
そんなあったかい気持ちにもなれる、映画でした。
残りますよ、これ、いつまでも心に。
この日は、映画上映が終わったあとに、監督のリンダの舞台挨拶。
会場からのいくつかの質問に答えてくださったあとに、
ミリキタニさん登場。
舞台挨拶って、映画が始まる前の方が圧倒的に多いのですが、
今回はあとで大正解ですね。
映画を観る前は、ほとんど予備知識なかったでしょ。
でも、映画を観た後は、きっと映画をみたほとんどの人が、
ミリキタニさんのこと、大好きになっていると思うのです。
とてもあたたかい空気が会場に流れていました。
そしておちゃめなミリキタニさんは、
出てきた早々、アカペラで1曲歌ったのです。
収容所でなくなった方の歌のようでした。
歌はとても好きみたいですね、
映画の中でも、結構歌っていました。
現在87歳とのこと、いつまでもお元気でいてほしいです。
最後に・・・リンダさんの飼い猫の三毛猫ちゃんがとてもかわいかった♪