ね〜、さくら。
君は覚えているかい?
初めて家に来て最初に迎えた夜のことを…
寒い冬が到来していたこともあって、普通の猫の部屋で寝かせるのはあまりにも可哀想だし、暖かい布団を用意し、狭いケージも用意したんだよ。
まだケガも完治しておらず、痛々しい手術後の縫い目がクッキリと見えるほど毛も剃られていたから、想像以上に寒さが応えるだろうね。
当分は自宅でも安静していなければならなかったので、狭いケージは打って付けだったよ。
私は独り暮らししていたのだけど、君をほったらかしにしておくわけにもいかず、とりあえずしばらくはマンションと実家の往復をしていたんだ。
マンションとは言っても、大学の卒論を書くためや、仕事の事務所として借りていたことから、別にそこに住まなくてはならない訳ではなかったが、やはり個人的な気持ちとしては住んでみたかったな。
君はあまり鳴かないから、マンションで住んでもわからないとは思うんだけど、やはり決まりは守らなくちゃね。
さて、最初の夜。
ケージの中に入れて、電気を消して寝ようとしたけど…
『ミャ〜』っと、か細い声で僕を呼んだね。
しばらく僕を呼ぶ声が止まず…
また、うるさかったことから、小さなケージから君を出してあげて、一緒に布団の中で寝たんだよね。
暖かったかい?
お互い一緒に寝ると暖かいね♪
でもね
次の日、君のオネショは冷たかったよ。
続く…