君は覚えているかい?
車に踏まれた時のことを…
知っている動物病院は、全部回ったんだよ。
でも、やっぱり夜中だったから開いてなくてさ。
君もずっと痛いのを我慢していたよね。
一度、家に帰って対策を考えよう!
車でウロウロしていても始まらないから。
絶対、助けてあげるよ…
おじょうちゃん!
続く
病院でペットショップがあるって教えてくれたんだよ。
僕はね、君をとにかく助けてあげたい一心だったからさ、
夢中になって走ってそのペットショップへ向かったんだ。
でもね…
夜中だってこと、すっかり忘れててさ。
当然ながらそのペットショップも開いてない訳だわ…
振り出しへ戻った…
人間の病院だと診てくれないんだよね。当然か…
それでもね、そこの病院は近くのペットショップがあることを教えてくれたんだよ。
知ってた?さくら。
だからそのお医者さんを恨んではいけないネ。
ペットショップなら、手掛かりがつかめる!
少し希望の光が見えた気がしたんだ。
その希望も、またドン底へと突き落とされることになろうとは、
この時は、まだ知る由もなかったんだよ。
夜10時なんかに開いている動物病院ってないのだよ。
でも、このまま放って置けば間違いなく君は死ぬ。
今にも途絶えそうな、その息使い…
思い切って救急病院にも駆け込んだんだよ。
もちろん、門前払いだったけどね…
1時間くらい右往左往していたんだ。
時折吐き出す血が、また痛々しく見えて…
どうすることもできない無力さ。
早く探さなきゃ…
気ばかりが焦る。