ね〜、さくら。
君は覚えているかい?
初めて家に来た時のことを…
君は今までお外で生活をしていたのだろうか?
もしかしたら誰かの家で幸せな生活をしていたのかもしれない。
でも、医者が言っていた『胃の中は空っぽ』と言われた事から考えると、おそらくは外で過ごしてきたのだろう。
もう外は寒い寒い12月に入り、本来であれば君は、厳しい冬を外で過ごさなければならなかったが、それも今年からは暖かい僕の家で過ごすことになるんだよ。
ただいま。
ここが僕の実家だよ。
本当はマンションで過ごしたかったんだけど、猫は禁止なんだ。
君は小さなダンボール箱の中に入れられ、その箱を僕が抱いて家の中へ入ったのさ。
そうすると、ドアを開けた途端に、
『ワンワンワンワン!!』
大きなワンちゃん『ハナ』が、君に飛びついてきたんだよ。
ハナちゃんはね、普段は大人しいんだけど、猫を見ると見境がなくなっちゃうんだ。
しばらくは怪我している君を近づけることはできないね。
でも、いずれは仲良くなってくれると思っているよ。
寒い寒い12月になったばかりの冬の日の出来事であった。
続く…