夕飯の買い物に行くついでに、近所の100円ショップに寄った。
猫のおもちゃを買ってレジに行くと、レジの後ろに張り紙があった。
犬の里親探しだ。
子犬かなと思ってよく見ると、10歳(10kg)とある。
名前はミルク、ミルミルと呼んでいます、と書いてある。
散歩は朝夕。おしっこの躾も出来ているようだ。
マンション全体で、ペット禁止と決まったので、飼えなくなったという。
10歳・・・。
子犬のときから飼っていたとすれば10年一緒にいた計算。
ミルミルと呼んで、毎日散歩に連れていって、可愛がっていた犬。
マンションは突然ペット禁止になったのだろうか。
それまで曖昧なまま、こっそり飼っていたのだろうか。
それとも曖昧なマンションへたまたま引っ越してきたのだろうか。
いずれにせよ、10年主人と共に暮らしてきた犬が、
ある日突然、里子に出される。
ポスターを見ていて涙が出そうになって困った。
写真に写っているその犬は、雑種だがとても可愛い。
なにも知らずに写真に可愛くおさまっている。
人間の事情は、ペットの存在より優先される。
しかたのないことだが、不条理だと思う。
捨てられるのでなく、きちんと里親を探してもらえるだけマシなのか。
大阪府内ならどこでも送り届けます、と書かれていた。
切羽詰っているのだろう。
子犬ならいい。
でも、10歳といえばもう老齢期だ。
長年一緒に暮らしてきたご主人のもとで、静かに余生を送らせてやりたい、
そう思うのは、ただの犬バカの感傷か?。
9年前、16年飼った犬と別れた日の朝を思い出す。
その日、安楽死させられるとも知らずに、
寝床からきょとんとワタシを見上げていた黒い目が忘れられない。
病気と痴呆で、生かしておいてかわいそうなばかりか、
うちの母までノイローゼ気味で、しかたなかったとはいえ。
犬は、飼い主の思惑などなにも知らない。
別れる瞬間まで、一途に慕ってくれる。
それとも、飼い主の思惑を知っていて、それでも別れる瞬間まで
慕い続けてくれるのか。
かりんは猫で、犬とは少しつきあいかたは違うけれど、
もう生きたまま別れるのは絶対イヤだ。
あと20年は、一緒にいたいと思う。
最期まで一緒にいてやりたいと思う。
絶対、そうしようと思っている。