過去に出逢った13匹の猫の話

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ななせ♪

猫フェチの私がこの30うん年間に出逢った猫たちとの人生を連載エッセイとして綴っていきます。

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小悪魔襲来【さくら】vol.1
1112633574146032.jpg最初に猫と出逢ったのは、15年ほどまえ。
当時神田司町の広告代理店に勤めていた私は、朝いつものように会社のビルのエレベーターホールでエレベーターが降りてくるのを待っていた。

そのときふと目をやった会社のビル前の民家。その家の玄関先には、松だの幸福の木だのの鉢がうりゃうりゃ並んでいる。
当たり前に見ていた情景が、その日だけは違っていた。
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「幸福の木に実がなってる・・・・?」

んな馬鹿な。
近づいてのぞき込んでみると、幸福の木にちいさな白黒の生き物がしがみついて私を見ていたのだ。
『実』だと思った物、それは『子猫』だった。

「おいおい、ここで何ちてるのー?ノラちゃんでちゅかー?」←恥

「きゃー」←鳴き声

子猫は何が楽しいのか、幸福の木に飛びついてはずり下がり飛びついてはずり下がりしている。
触ろうとしてみた。
子猫はぴょんと飛んで、民家の隣のガレージへ走って行き、私の方を見て尻を振り出した。

「う・・・か、かわいい。。。」

すでにかわいさにノックアウトな私は「今遊んでられないからまたねー」と言い残し、エレベーターに乗った。
会社ではやはり猫の話題が出ていた。

「ビルの前に子猫がいたよ」

「前の家で飼ってんじゃないの?」

「でも首輪してないよ」

そんな話をしながら、昼休みになり、急いで私は猫の元へ向かう。
子猫は居た、ガレージで通りすがりのおっさんに遊んで貰っている子猫を発見。

「この猫なつっこいねー。珍しいよ」

「か、飼い猫なんでしょうかー?」

「この家で飼ってるんじゃないのかね。昨日からここにいたよ?」

ううう・・・飼い猫か・・・飼い猫はさすがにさらっていく訳にはいかない。

そのとき、噂の家のおばーちゃんが表に出てきた。
子猫は一目散に玄関へ入り、玄関先で餌を貰っていた。

「この猫飼ってるんですか?」

「いやーこないだからウチの前に居てねー・・・飼ってるわけじゃないよ」

(ラッキー!)「この子、貰うわけにはいきませんでしょうか?」

「いいだろうけど、孫がかわいがってるからなー・・・今学校に行ってるから、夕方また来てみてごらん」

「はいぃぃ」

やったー!でもお孫さんが手放したくないって言ったらどうしよう。あううう・・・。

ドキドキしながら就業時間が終わるのを待ち、いちもくさんに猫のいる家へ向かった。

「すいませーん。昼間の者ですがぁー?」

ビクビクしながら家の人が出てくるのを待つ。昼間お話をしたおばーちゃんとお孫さんらしき中学生くらいの男の子が出てきた。

「この人が猫飼いたいんだって?どうする?」

男の子になでられながら子猫はゴロゴロ言っている。

「うちも飼ってるわけじゃないし、雨よけに玄関に入れてただけだから・・・構わないよ」

「ほんとですか??」

飛び上がりたい気持ちを抑えながらお礼を言い、明日の夕方に引き取りにくるという約束をして、その日は当時同居していた同居人を引き連れて猫グッズを買いまくって帰宅した。
【続】

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