「出費は痛いけど、文句言われるよりはいいもんね」
家族からはバリバリ文句が出たが、私たちはさくら達を手放す事なんてできなかったのだ。
引越整理やら転居届やらで忙しく、避妊手術に連れて行く間もないそんな中、バニちゃんは発情が治まったのか泣きわめかなくなった。
そんなバニちゃんに異変が起こった。
乳の周りの毛が大量に抜け始めたのだ。ストレス脱毛?いや、こ、これは…。
バニちゃん、ご懐妊だった。
やられた、いつの間にか近所の飼い猫とよろしくやっていたらしい。まだ子猫のくせに…とほほほ
こうなったらしょうがない、妊婦を連れて引越、新居で出産させることにした。
「さくらはまだシーズンもきてないのにね」
妊婦のバニちゃんはどすどすと関取のように部屋を移動する。さくらはバニちゃんを舐めてやる。
「なんか夫婦みたい…(苦笑)」
さくらまで発情しだしたらたまらないってことで、さくらは避妊手術のため入院させた。
その翌日、4月29日みどりの日の早朝、
「ぴー!」
おもちゃの笛を鳴らしたような音に飛び起きた私たちがみたものは、カーペットに落ちている白ネズミ。
どうやら私たちが寝ている間に産気づき第一子出産、折角作ったお産箱から、ベッドの下までひきづってきたらしい。
あわててお産箱に戻して、おろおろしているバニちゃんを応援、第二子出産。全部で5匹のかわいいネズミを産んだ。
「しゃぁー」
まだ生まれたばかりで目も開いていないというのにちゃんと威嚇はする。
その日の夕方、手術を終えたさくらを迎えに行き、子猫とご対面。
おもちゃと思っているのか逃げようとする子猫を捕まえて舐めている。ついでに授乳中のバニちゃんも舐めてやっている。
ほんとに夫婦のようである、さくらはメスなのに。とほほ。
生まれて2週間かそこらの頃、我が母親上京、子猫を見て大激怒、動物嫌いだからしょうがない。
うるさいばーさん登場でびっくりしたのか、その日にどんどん子猫たちの目が開いていった。くりくりとかわいい目♪
子猫たちは、部屋中をうんちだらけにし、ベンジャミンによじ登ってボロボロにしたり網戸に止まって蝉になってみたりした。
病院でワクチンをしている間は、女の先生達のアイドルになってみたり、注射中の先生の頭に代わる代わる飛びついたりもした。
最初に産まれた子は間もなく養女に貰われ、カルチェというたいそうな名前を付けていただいて、幸せに暮らすことになり、三匹目と四匹目は復水の溜まる病気でわずか三ヶ月でこの世を去る。
二匹目の子は二太郎君、五番目の子はまりもちゃんという名を付け、これまたいちゃいちゃとした兄妹となっていく。
これ以上は絶対増やせないという状況になるが、まだまだドラマはこれから始まるのだった。