溺愛するアキ・カウリスマキ監督の最新作
「街のあかり」を観てきました。
映画館に足運ぶの久しぶりやなぁ〜。「ラストキング・オブ・スコットランド」以来でしょうか。
大好きな「浮き雲('96)「過去のない男('02)」に続く敗者三部作の完結作。どれだけ公開を待たされたことか。
も〜 ボクの中ではカウリスマキの作る映画っていうのは絶対的なもので、ハリウッドが多額な金かけてドエライ映画作ったところでそれがどうした?ってくらい差があるわけです。あくまでボクの中ではね。
今の時代、チラっと見ただけで「この監督」ってわかる映画も少ないでしょ。カウリスマキはその中でも圧倒的な個性。
冴えない男がいて女が出てきて犬がいてっていうカウリスマキの定番パターンでいて、
しかも相変わらずセリフは少ないし、どの役者も表情ひとつ変えない仏頂面の演技だし。
なのにこんなに胸を打つのはナゼなんだ。地味なのに印象に残るのはナゼなんでしょう。
都会の片隅でひっそりと、それも社会の底辺のほうで生きる人間への少しばかりあたたかい視点。これぞカウリスマキ。
どこへ行っても影の薄い男。バーに飲みに行っても隅に追いやられてそこにトイレのドアがガチャって開くっていうあの絶妙なタイミング。滲みでる可笑しさもこの監督ならでは。
カウリスマキの映画では毎度のことですが次から次へと主人公に不幸が転がりこんできます。
それでも彼らは泣いたり怒ったり感情を出さずに、ひたすら淡々と前にだけ進むわけです。これは敗者三部作に限らず「コンタクトキラー」なんかも同じでした。
毎度イケメン・美人が出てこないカウリスマキ映画ですが、今回の主演の俳優さんはまだ男前なほうかなぁ。
でも吠えることを忘れた老犬のようなあの表情はイケメンでもハリウッド俳優やったら絶対アカン。
不器用で鈍感で人間臭さが前面に出てる感じが、ボクのイチバン好きな「真夜中の虹」っぽくてよかった。無実の罪で刑務所行きも一緒だしね。
今回は主演の彼も含めてほぼキャストを一新してますね。
だからカティ・オウティネンがチョイ役で出てきたときの存在感が余計すごかった。同じスーパーのレジ係役だった「パラダイスの夕暮れ」と比べるとずいぶん歳を重ねましたね。
次はリンチ監督の「インランド・エンパイア」を観に行きたいなぁ。
なかなかステキなパンフレット!
→ 「街のあかり」公式サイト
http://www.machino-akari.com/