私が唖然とさせられたのは鹿の親子がまるで何事もないかの如く、仔鹿が前を、母鹿が後ろから、前後に並んで歩いている姿であった。鹿の親子がただ歩いているのではないのだ、その仔鹿の首に前足でしっかり抱き付いてラブがぶら下がっていたのである。ラブは仔鹿の首にぶら下がったままで私の方を見ながら、「今いいところだから邪魔はしないで!」と私を警戒し牽制している様であった。鹿の親子もラブの執拗な悪戯には、ついに根負けしたのであろうか?一緒に見ていた観光客の夫婦が「今のをテレビ局に撮影させれば良かったですね!」と残念がっていたが私も本当にそうだと思った。宮島には神社を撮影の為、テレビ局の撮影のスタッフが大勢押し掛けていた頃でもあったから観光客でなく私でも、そう思って残念な気がした。