「失われた町」
三崎 亜記 著
ある日、町の人々が消失してしまうのです。
原因も、メカニズムも分からぬまま。
人々は消失に抗うことも、
それから逃れることもできないのです。
残された人の中には、その原因、予兆、対処法を探る為に、人生を捧げる者もいます。
しかし世の中には、理不尽な理由で命を落とす人がたくさんいます。
戦争・事故・病気・犯罪被害者・・・
これらと、この物語の脅威「町の意思」に大きな違いはないのかもしれません。
人は、いつか必ず訪れる消失(死)を受け入れつつ、今を生き、必死に抵抗するもので、それは決して悪あがきなどではなく、そうすることによって意思を繋ぎ、生き続けるものなのではないでしょうか。というメッセージ性のある本です。
かわいらしい装丁も、実はストーリーを意味していて、よく出来ています。