わいちゃんの秘密
上顎にはお腹と同じ丸い黒い斑があるのだ
「ふぁ〜」
わいちゃんは、変に頑なところがある。
頑な、というか律儀というか…。
例えば
時間に正確だったり…。
ご飯の時間の15分前になると「母ちゃんご飯にゃ」
と知らせる。
23時になると「寝る時間にゃ」と催促する。
それから、
私が布団に入ると、まずはベッドの周りをチェックして
そうして、ピョンとジャンプしたあと、
胸の上をズカズカと踏んで
（勿論、その時私はウッと低く唸る）
腕のあたりから下のほうへフミフミゴロゴロと一周したりする。
自分の“場所”も頑なに守っている気がする。
先ほど、私がソファでゴロリと横になり
読書なぞにふけっていたら
小さな声というか鼻息というか
何かが聞こえ、気になってその“音”のするほうを見ると
わいちゃんが一生懸命ソファー・カバーの端から
中に入ろうと努力中の姿が目に入った。
勿論その努力しているところには私の足があるわけで
入れる隙間なんてこれっぽっちもないのに
入ろうとしている。
私はなんて優しいんだろう。
快適な場所をわいちゃんに譲って、まぁまぁ快適な姿勢で我慢した。
主人がソファに座っていたりすると、
そこは僕の場所にゃといわんばかりに見ていることがある。
わいちゃんは主人に対しては、何か一目おいているようなところがあるので
何の行動にも出ない。
でも、目は確実に訴えている。
今、わいちゃんは夢の中だ。
こうして午後まで気持ちのいい時間を過ごす。
彼の日常は変わらず過ぎていくのだ〜。
