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わしの領土(なわばり)で他所の猫が死んでもうた。屋根で足滑らせてな、家と家との隙間に挟まってもうてん。
この辺は斜面地やからな、隣の家の二階が自分の家の一階あたりにくんねん。で、それではお互い丸見えやからな、ブロック塀で仕切るわけや。で、お互いに可能な限り自分ちの領土いっぱいいっぱいに塀作るやろ、狭いねん。わしなんかよう通らんわ。
もう少し隙間があれば、楽に死ねたんやろうなぁ。挟まったまま身動きがとれず、何時間もなさけない声で鳴いとった。
人間どもがぎょうさん集まってきてな、いろいろやるんやけど、手が届くわけがない。そしたらレスキュー隊みたいのがきてな、誰か呼んだんやろうなぁ。でも、助け出したときにはもうあかんかった。 わし、しばらく隣の家の屋根に飛び移ることできんようになってもうた。
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