ある日近くの会社の作業所に、一匹の子猫が迷い込みました。
お腹がすいてガリガリで、でも、元気に泣きました。人も怖がりません。
家にある猫缶をあげて、そのまま家で飼うことにしました。
病院に連れて行き、名前も ハナ とつけました。
たった500gの離乳の済んだばかりの女の子でした。
元気にごはんを食べ、下痢もせず、
このまま元気に育っていくと信じて疑わなかった数日後、
ハナの異常が発見されました。 先天性の代謝異常・・・
お母さんの母乳ではなんとか症状が出なかったらしいのに、
捨てられたのか、はぐれたのか、食うや食わずの状態だったのが、
うちに来てしっかりごはんを食べられる環境になって、
初めて症状が出てしまったのではないか?とのこと。
食べたいのに、食べたら大量のよだれと体の震え
最後には、注射器であげる療養食でも痙攣が起こるようになりました。
3分起きに起こる痙攣に、一日に何度も車を走らせ病院に行きました。
「小さい子だから」と医者が最後までためらっていた痙攣止めの薬、
注射してもらって、やっと眠ることができました。
4時間くらいたって、ハナは起きてきました。
「脳に毒素が回っている恐れがあるので
神経症状が出るかもしれません」 言われていたことだけど・・・。
もうハナちゃんは、その時には目も見えず、耳も聞こえていないようでした。
水も飲まず、それから壁にぶつかりながら 二時間・・
ハナは家の中を歩き回りました。
「死に場所をさがしているみたいだ」
夫の言葉に私は答えないまま、
泣きながらハナの後ろをついて歩きました。
ハナが選んだのは、私の毛布の中でした。
そっと隣りにもぐりこみ、朝まで一緒に寝ました。
私が目を覚ます6時少し前まで、ハナは待っていてくれました。
毛布でくるんで抱っこすると、ハッハッハッと荒い息遣いがして、
最後に水を飲んで 逝きました。
あんなに軽かったのに、400gしかなかったのに、
天国にいくとき、すっと軽くなったのがわかったのが不思議でした。
頑張っていたハナちゃん、
なんのために生まれてきたんだろう?
泣いて 泣いて ずっと泣いてもわからなかった。 でも、
大人になって死のことをわかった気になっていた私に
命の重みを教えてくれて 本当にありがとう
うるるを引き取るきっかけになった出来事です。