私の職場には犬好き、ネコ好きがたくさんいる。
1匹だけよりも皆さん数匹飼っているところが多い。
仕事中、ある人が私に話し掛けてきた。
その方は1匹のネコを大事に大事に飼っている。
「うちのネコ、私が宿直で夜間家を留守にすると、私を捜して鳴くそうなんです。
家族がそれでいつも大変だってこぼすんですよね。」
それを聞いたとき、私の中に嫉妬の炎がちらりと燃えた。
・・・なんですと???
そんなうらやましいことをするネコがいるんですか・・・。
「ひできちさんのとこもやっぱりそんなん?」
と聞くので
「そりゃ〜、うちも可愛がってますからね〜。おほほほほ〜・・・」
などと見栄を張ってもしょうがないので
「・・・いえ、そんな経験ございません」と素直に答えた。
その方と私は職種が違う。私の場合は1週間に一度は夜勤が入る。ひどい時には2回入ることもある。
しかしその方は2週間に1回宿直に入るのだ。
私がいない時のことなどあまり考えたことがなかった。
ならばどうしているのか、ジジイに聞いてみると
「知らん」
ええ、そうね。そうでしょうとも。ジジイの就寝時間は19時ですから。
夜間爆睡しているこの人にはわからないでしょうとも。
しかし、私が帰ってこない時私のことを捜して鳴いている姿なんて想像できない。
鬼の居ぬ間の洗濯とでも、登ってはいけないところに登り、入ってはいけないところに入り、他に何か美味しいものがないか捜している姿なら想像できる。
なにせ、この前の夜勤明けで帰ってきた時には部屋の観葉植物がひっくり返っていて部屋中泥が散乱していた。
怒りにぶるぶると震えながら掃除機をかけたものだ。
そして私は昨日夜勤明けでお昼近くに帰ってきたのだが・・・
ぐおおおお〜。
全体像。
そしてこっちにも。
「おかえり〜。ご飯まだ?もうお昼なんだけど。」
私を出迎えてくれるのはいつもジュリ。
しかし、こいつの頭の中はいつも食い物のことばかりなので、あまり素直に喜べない。
そんな私をいつも熱烈歓迎で迎えてくれるのがこのオトコ。
「どこ行ってたんですかぁぁぁぁ!!!お会いしたかったです〜!!!」
と、こう言っているように聞こえる。マジで。
尻尾ふりふり、嬉しさのあまり悲鳴をあげ、興奮最高潮に達したところでわけがわからなくなって吠えている。
別にここまでのリアクションは求めてない。
腹が減っているだろうとご飯をあげても、撫でてほしいのかそばにいる。
「いいから食べろって」と言うと、一口食べてはこっちを見て尻尾ふりふり。
また一口食べてはこっちを見て尻尾ふりふり。
・・・このくらいしてくれないかしら???
そしたら例えりんごの時計を落っことされて使用不可能になったとしてもちょっとは許せるのに・・・。
「おなかいっぱいになりました。」
私を捜しまわってるなんて想像できないが、帰ってきてから布団にばったりと倒れこむ私のそばに必ずレオがいてくれる。
いいの、それだけでいいのよ。ええ、ええ。
りんごの時計・・・。大事にしてたりんごの時計・・・。