トラちゃんはレオ、龍之介とともに保護した子だ。
いつも落ち着いてどっしりと構えているので長男坊という感じがする。
私はトラちゃんのことを怒ったことがない。
というのもトラちゃんは怒られるような悪さをしないからだ。
レオは今でこそしないが、適当なところで用を足すという悪癖があった。
龍之介は何をしでかすかわからない鉄砲玉で、仏壇の上に飛び乗り
仏様の水を飲むというバチ当たりな行為をするだけでなく、仏壇を踏み台にしてタンスに飛び乗り、上に置いてあるものをことごとく落としてくれたりする。
張り替えたばかりの障子を上から下まで破ってくれたこともある。
これは2匹共犯だ。
家中走り回るため廊下の傷はほとんどこの2匹によるものである。
いつも何かしらで私の怒りを買っている。
それにくらべていつも落ち着き払っているトラちゃんのなんとおりこうなことか。
じつは一度トラがスプレー行為をしたことがある。
目の前でされたのだが、「トラちゃん・・・ダメじゃないのこんなところでしちゃ」
とさらりと言ってしまう。
もし口がきけたならレオと龍之介から不満の声が上がるだろう。
これがこの2匹なら一喝しているところだ。
でもねえ、トラちゃんは悪いことしないから怒りなれてないのよ。
ふ・・・しょうがないよ。
トラはりんりんと同じでさりげなく甘えてくる。
でも私はトラが甘えモードになる方法を知っている。ふふふ。
これはトラが1匹でいるところを狙う。
「トラちゃ〜ん」と擦り寄っていって、体中を撫で回す。
すると、ふがふが言いながら腹を見せごろんごろん転がり始めたらこっちのもんである。
しばらくして「じゃ」と立ち去ろうとすると、
「え?」
とびっくりして飛び起き、「待って待って、もっと撫でて、抱っこして」
と、にゃおんにゃおんと甘えて寄ってくる。
か、かわゆい・・・。
しかし、甘えモードのスイッチを入れてしまうと小1時間は解放されない。
途中で止めようとしても許してくれないのだ。
誰かが入ってくると邪魔するなとネコパンチを放っている。
朝起きるとトラちゃんの後頭部が目の前にある。
寝るときはレオとらんらんが両脇にべったり張り付いているのだが
らんらんは私が寝入ると出て行ってしまうので、その後にトラがくるのだ。
ただ問題は寝ている間に私の頭をずいずいと押しやり枕を占領していることだ。
トラちゃん、枕は頭を乗せるんだよ。枕の上に乗って寝るんじゃないんだよ。