悲しい辛い日

近所に何年も遺棄された犬がいる。

見かねた近所の人がずっとご飯をあげていた。 その人がお嫁に行った後その犬はいつもその人と行ったコンビニの前でその人を待っていた。

最近病気でおなかが異常に膨らんで垂れている。

役場から捕獲に来た。
この辺の人は飼い主の異常性を恐れ犬について口を出さなかったが 何も知らぬ新しい転入者でも通報したのだろう。

寝るところもなく雨の日でも濡れながら畑で寝ていたという。
食べても食べても吐いていたそうだ。

だからいつも食べ物を欲しがっていたんだ･･･

役場に任せて保健所で苦しんで死ぬより有志で病院で安楽死させることになった。
引っ越した飼い主の息子の家へ相談に行く。
息子は亡くなった親戚の犬と言いやがった。

あんたの父親の犬だったって知ってるよ!
あんたんちには4匹のヨークシャテリアがいるって知ってるよ！
この子のお母さんとこの子を遺棄したのは動物虐待だよ!!

息子は安楽死を了承。
費用がかかるだろうからって1万円持ってきた。葬儀費用も持つという。
お金だけかい？愛情はかけてやれなかったのかい?

今朝仕事中に　最近かわいがってあげてたSさんと犬の処遇について相談してたら
Sさんについて来たその犬が玄関越しにSさんを見て嬉しそうに尻尾を振ってた。

私がその子を見たのはそれが最後。

朝11時に遠くに迎えの紺の車が停まっていた。
Sさんは私に手を振って車に向かって走っていった。

彼女達が病院にあの子を連れて行く心の葛藤と苦しみ・罪悪感・虚無感ははかりしれない
なぜ飼い主でもなく彼女達がその手を死に繋がなければならないのか･･･

そして病気とはいえ今朝もとぼとぼながらも歩けて尻尾を振る元気があったあの子が 何も知らずに苦しまずに永遠の眠りについたのだろうか。

それは安らかな眠りだったのだろうか?
その死に少しだけかかわった人間としても考えがまとまらない･･･
ただ人として悲しい・・・