「ぼくはイヤなんだよ!」
弟靴下は言いました。
「いつも兄さんと2人で一人前、
どこに行くにも何をやるにも必ず一緒、
ぼくはひとりで一人前になりたいんだ!」
そんな弟靴下を兄靴下は黙って見守るだけです。
ある日突然それはやって来ました。
「やったよ!兄さん!ついにぼくにも芽が出たんだ!」
弟靴下は知らなかったのです。
芽が出た(穴の開いた)靴下は捨てられる運命です。
「でもなぜ兄さんまで…」
ゴミ箱の中で弟靴下は言います。
「片方だけの靴下なんて使い道がないからね?
ぼくたちはいつまでも一緒だよ」
兄靴下は静かに答えました。
-終-