本当は今日は月曜日ではないのですが、特別に書きたいと思います。
ゆうちゃんと呼ばれる、オス8才の猫は、ダイちゃんとメグちゃんの3匹兄弟でした。
野良猫雪ちゃんの子供としてシェルターで生まれました。
シェルターにはC小屋と呼ばれるプレハブ小屋があり、
シェルター在住で特定の部屋を持たない自由な成猫達がいつでも眠れ、
いつでも食事や水が摂れる部屋となっている。
当初シェルターに保護する猫の数は少なく皆自由で、
野良猫たちも餌を求めてC小屋にやって来ていた。
その為小屋の扉の一部にいつでも出入り出来る様、
小さな出入り口を作っていた。
やって来た野良猫達は全員保護し、去勢避妊手術をして自由に放しても、
多くの猫達がそこには住み着いていた。
雪ちゃんもそんな野良猫の一人だったが、
保護した時には既にお腹が大きかった為、そのまま出産させた。
雪ちゃん自体があまり体が大きい猫ではなかった為、
3匹の仔猫しか出産はしなかった。
美形でロシアンブルーの毛色そっくりのオス2匹と、
長毛のグレーのメス1匹の子供達は、
それぞれダイちゃん、メグちゃん、ユウちゃんと名付けられた。
無事に3匹が大きくなり、雪ちゃんは子供達に餌場を譲ったのだろう。
シェルターからいなくなってしまった。
ダイちゃんとユウちゃんは全く同じ毛色でグレーに白が入った、
スタイルの良い猫だった為、見分けを付ける為に違いを探した。
するとユウちゃんは顔の口元の右が白く、
ダイちゃんは左側が白かったので、右白の子がユウちゃんで、
左が白かったダイちゃんは性格がおおらかだった為ダイちゃんとなった。
ダイちゃんは、夜外に遊びに出掛けた時、車に轢かれて1年で星になった。
それからシェルターを囲んでいるフェンス(1500坪の敷地がある猫エリア)に猫返しを作った。
1500坪もあるくぬぎ林なのだから、外へ出なくても良さそうなものだが、
オス猫だった為、興味を持ってしまったのだと思う。
ユウちゃんにはダイちゃんの分まで生きてくれる様祈り、
その時の悲しさは今でも忘れられない。
ユウちゃんも仲良し兄弟のダイちゃんがいなくなり、寂しかったと思う。
そして3年後に又シェルターにお腹の大きな母猫がやって来て、
これも保護して出産させ、子育てをさせた。
そしてその生まれた子供の中にいた、やはりオス猫のポポちゃんとユウちゃんは出会った。
ポポちゃんはダイちゃんと性格がそっくりだった。
ちなみにポポちゃんはしっぽがタンポポの綿毛の様に丸い可愛らしい形から名付けられた。
ユウちゃんとポポちゃんは日中外で日向ぼっこをする時も、
部屋で寝る時も昼も夜もどこへ行くのも一緒で、
これ程仲の良い2匹を見た事もない位仲良しだった。
「片方でもいなくなってしまったら、残された方は可哀相だね」
…日頃から話題になる程、この姿は誰が見ても微笑ましい光景であった。
私達のシェルターは猫エリアと犬エリアがある。
フェンスで囲み分けをしてあるが、
時々興味ある猫はフェンスの猫返しの隙間にある、
木や屋根を伝って犬エリアに進入し、犬に追いかけられたりしていた。
それでも事なきを得て15年を越えていた。
5/21朝、犬エリアの犬舎の中で、ユウちゃんは固くなっていたのをスタッフが発見した。
どうして犬舎(囲いの中に猫が入らない様に天井まで金網をしていた)に入ったのか?
犬エリアに進入して、自由にしている犬達に追われて、
犬舎のフェンスにかけ登り、天井の金網とフェンスの隙間から中へ逃げ込み、
犬舎の中で又犬に囲まれ、事故は起きてしまったのだろう…
充分気を配り、日々生活している中で、
基本的に動物は夜行性で、私から見て夜はどうしても盲点になりがちである。
犬の中にはやはり野良犬だった犬や、噛み癖があったり、
性格も色々だが、唯一共通して人間には忠犬であり、
犬とのそりが合わない者のグループが幾つかの犬舎組になっている。
時々野鳩を射落し食してしまう犬も中にはいるので、
その事を猫達も知っている為、普段日中にはこの様な危険性は
誰も考えていない事であった。
考えられない事から事故は起きるもので、
実際に経験をしてしまってから、あまりのショックで夜眠る事が出来なかった。
犬や猫達にとって、シェルターは楽園な筈なのに、
楽園の中で怖い思いをさせてしまって、悔いを残している。
ただただ今はユウちゃんには安らかに天国へ行って欲しいと願うばかりである。
突然命を奪われたユウちゃんの8年の一生は終わってしまった。
残されたポポちゃんは淋しげに面会室のソファでユウちゃんを待っている様に見える。
充分気遣いをしてあげたいと強く思う。
そしてユウちゃん、怖い思いをさせてしまって、
そして助けてあげられなくて本当にごめんなさい…
美形な顔に似合わないユウちゃんのハスキーな声が、
私の耳に残る、長い長い夜になってしまった。