母猫から引き取った時、シャムちゃんの体重は120グラムしかなく、
お腹ばかり大きく、前足の親指の2本は壊死していて、
茶色くぶら下がっていました。
とても発育不良で健康とは程遠い仔猫でした…。
成長出来るかどうかと言えば、正直確実に死に向かっている状態で、
治療やケアをして生かすには忍びない程の体格でしたが、
生きようと頑張る意欲は充分に感じられ、
私も助けられたら助けたいと言う気持ちは充分にありました。
しかし生かす事で末路を想像すると厳しいものもあり、
選択、決断と言うものの難しさに苦悩し、
結果決められず、最後の最後まで頑張らせてしまう自分自身の現実があり、
猫の子と言えども命を預かる事の厳しさが、
何年この仕事をしていても、問われる課題であり、
このシャムちゃんの場合も例外ではありませんでした。
シャムちゃんは1日10グラム位でも体重が増えて、
元気になって来ているみたいでしたが、お腹ばかり大きい印象は変わりません。
けれどふと無事大きくなったこの子を想像してみたりして、
確実に死には向かっていないよ!と言われている気がしました。
布で排尿排便を促すと、勢い良くオシッコも出る様になり、
下痢(消化不良)をしながらも少しずつ大きくなってくれると、
本当に成長出来る夢を見てしまうから不思議である。
朝になると「早く行ってあげないと…」と急いだりする。
しかし5月9日、やはりその夢は幻であった。
朝から具合が悪く、見守っていたけれど、夕方静かに息を引き取った。
「良く頑張ったね」としか声を掛けられない悔しさと、
最後までお互い良くやったと言う無理矢理の納得と、
これでシャムちゃんは良かったのだと自分に強制的に言い聞かせながら、
苦しまずに死を迎えたシャムちゃんは、
きっと努力した分天国で元気に大きくなれる事を信じ、
念じるばかりだった。
シャムちゃんは190グラムになり、40日間の短い命だった。
きっと成長出来なかっただろうと思う事で、
決断・選択出来なかった自分を認めるのではなく、
それぞれのケースに応じての判断をどう決断出来るか?
少しでも方向を間違えない努力をする事と、
勉強を重ねる事がシャムちゃんに教えて貰った自分への試練として受け止めたい。