ノアの生涯は実に闘病の歴史でもありました。
この猫は1歳、2歳まで生きられればいいね、と
当時の担当医に言われたのを思い出します。
生後3ヶ月の時に怪我で頸髄損傷を。
一時的に心臓と呼吸が停まり、瞳孔が全開。
人工呼吸と心臓マッサージで息を吹き返したものの
その後長らく、首から下の麻痺が残りました。
過去記事の写真で四肢をつっぱるようにして立っているのは
その麻痺の後遺症です。
麻痺は運動能力だけでなく内臓機能にも及びました。
幸い「垂れ流し」の時期は数週間だけで自力排泄に戻りましたが
神経因性膀胱のために、常に膀胱に多量の残尿があり
重症の尿路結石とつきあう事に。
石を溶解させるためのs/d(スターター)をやめると
(c/dやpHコントロールなどの予防食だけではダメで)
すぐに石ができて血尿になるためs/dを13年間食べ続けました。
それでも年齢相応まで腎機能を維持できたのは奇跡的です。
高齢になり、尿が酸性に傾いてs/dは数年前に卒業。
その少し後、咽頭に大きなポリープができて呼吸困難と
チアノーゼを起こして数日間意識のない状態に陥りました。
幸い、ポリープは悪性度の低いリンパ腫だったため
内服薬で縮小し、その後再発はありませんでしたが
寝たきりの間に肩甲骨の部分に巨大なとこずれ(褥瘡)を作り
むき出しになった関節が隠れて傷が閉じるまで
これまた数週間かかりました。
今年に入って以降のノアは血液検査の結果に著変なく
まずまず落ちついた状態でしたが、2月以降徐々に体重が減り続け
その減少を食い止めるのに頭を悩ませました。
特に5月末にアイリスを失ってからの体重減少は急で
6月や9月など、数回、生命の危機がありました。
9月末ごろにやっと体重減少がとまって回復のきざしが見られ
何とか今年の冬を迎えられそう...と思っていた矢先
数日前から再び食欲が落ちて衰弱しました。
体力が落ちている猫の急変は文字通りあっという間です。
流動食やミルクをシリンジで投与しても腸管が受け付けず
未消化で戻すようになって、四肢や体が冷えてゆき
今回はとうとうぬくもりが戻る事はありませんでした。
5日の夕方に撮った最後の写真です。
アイリスと違って最後の最後まで意識がありました。
抱いて頭をなでると弱々しいながらも喉を鳴らして
顔を近づけると視線を合わせてくれて...
膝に乗せたまま数時間、いろいろな事を話しました。
ノアもまた、最後まで親孝行な猫でした。