【もんもん介】
「これが越前の国が誇る名城、猫月城か・・」 江戸を離れること50余里。三毛姫のもとより後をつけてきた狸家老らは江戸屋敷へ入り、どうやら狸は猫月藩江戸家老と見当をつけたもんもん介。その後はここ猫月城まで夜に日をついで駆けどおしてきたのである。
一体何がもんもん介にここまでさせるのか。
【もんもん介】
「三毛姫・・ええおなごじゃった。必ずや救い出して、その暁には・・。股間の退屈の虫がうずくわい。プハプハァ♪」・・・^^;; さて、
不憫な三毛姫のことは一旦忘れて、ここはお上の意向も直には届かぬ他藩の領地。しかも堅城の誉れ高い猫月城。忍び込むにも勝手がわからず、いたずらに堀端をぐるぐる歩き回るもんもん介。
【もんもん介】
「さて。如何致したものか。」思案に暮れてるもんもん介の耳に、場内よりだれぞの出て来る物音が。
【軽そうな男】
「そりでは拙はちょっくら街に春を愛でに参ってくるぞよ〜♪」 門番にそう軽口を残し出て来たのは、薬箱を手に下げたいかにも軽薄そうな侍。もしやこれが件のご侍医ではともんもん介、侍の後をひたりとつけて猫月藩城下町のほうへ。
ここは猫月藩城下町。
その中でも一際華やかな灯に彩られた色町に乗り込んだ件の男。後をつけてきたもん
もん介はその門前に佇み、心から一言。
【もんもん介】
「うーぬ。わしも、いたしたい。」・・・。 今は大事の途中、それも叶わぬゆえ仕方なくもんもん介、入り口に上りこみ、腰のものをはずしながら、
【もんもん介】
「おーい。女将はおらぬか」【女将】
「あらいらっさいまし♪この店は初めてでございますか?」 出て来たのは年の頃は大年増なれど、肌の色雪のごとく、品のよい顔つきをした女将であった。
【もんもん介】
「うむ。いや女将、なかなかに繁盛しているようじゃの。」 そういいながらもんもん介、一発でクラッときた。
【女将】
「それがそうでもないんですよ。お殿様が御病気になられてからこっち、取締やら上納金の加増やらでなかなかに大変なのでございますよ。」 これはいい方向に話が向いてきたともんもん介、話をうまく誘導しながら、何気に女将の首筋に息吹きかけたり手を握ってみたりと、そっちのほうも忘れないから大したものである。
【もんもん介】
(ふっ♪)「ほほう、お殿様が倒れたと。では今の御時世はどなたが?」(ぎゅっ♪)【女将】
「あ♪」「い、今は江戸家老の狸腹黒太夫様が権勢を奮ってらっしゃるとか?」
「うっ♪」 ますます図に乗って女将への攻撃を強めるもんもん介であった。
【もんもん介】
(ほれほれ♪)「今店に上っていったのは、その狸殿と縁続きの、御侍医殿ではないかの?」(ここかここか?^m^)【女将】
「ひっ♪」
「そ、そのとおりでございます。よく御存知で?」
「あぁっ♪」 はや夢心地の女将はこうして洗いざらいしゃべらされたのである。
一刻ほど時がたち、
【もんもん介】
「なかなかに楽しい一時であった。しかし参らねばならぬ時が来たようじゃ。」 二階から件のご侍医が降りてくる気配を察し、身形を整えながらもんもん介は、しとどに横たわる女将にそういった。
【女将】
>「・・・お侍さんは、私をだしにしてお二階の人を見張ってらっしゃったんですね? 悪いお方。」 伏せ目がちの流し目で軽く睨まれたもんもん介、慌てて、
【もんもん介】
「い、いや女将。今の一事は拙者心より臨んだことぞ。いやほんに。」 クスクスっと笑うと女将は、晴れやかに、
【女将】
「いいんですよ、弁解なさらずとも。」
「どうやら貴方様はご病気のお殿様、それに行方知れずとの噂の三毛姫様お味方のご様子。どうか御武運を。」 なんと女将はすべてを見通していたようである。
【もんもん介】
「女将、おぬしはほんにええおなごじゃのう。拙者、姓は早乙女名をもんもん介、人よんで旗本退屈ニャンコと申す。縁があればまたあいまみえようぞ。ぷはぷはっ♪」ニカッと笑ってそういい残し、でわでわサラバとご侍医の後をつけて城へと取って返すもんもん介。
なにか言いたげな風情で、しかし黙って見送る女将。
いよいよ猫月城へ乗り込むもんもん介。果たして無事お殿様救出なるや?
続きは次幕にて。 第三幕は、これまで〜m(__)m