
このTシャツはナナさんの形見です。
最近、ちいさな犬に服を着せているのをよく見ますが、ネコに着せるケースはまれのようです。
オイラたちはもって生まれた毛皮がありますし、基本的には必要ないと思います。
ナナさんがこれを着ていたのには理由があります。
ナナさんが腎臓をわずらってなくなったのは以前お話しましたが、その闘病中、治療のため皮下点滴をうけたそうです。
皮下点滴というのは皮膚の下に薬剤を注入して浸透させていく点滴方法で、皮下に薬剤がたまった状態で自宅に帰れるので、入院しなくていいという利点があります。
ところが、ナナさんはこのときすでに体重が半分ほど(といってもオイラくらい)におちていて、皮下脂肪がほとんどない状態だったので、皮下に薬剤を注入したことで皮膚がもろくなっていたようで、なにかにひっかけたらしく、肩のあたりの皮膚がやぶれてしまったのです。
とりあえず縫ってもらったそうですが、傷口をなめないように着せられた服、といっていいかどうかわかりませんが、白い布にひもをとおして、くくりつけたようないたいたしい代物だったので、そのかわりにとご主人が買ってきてナナさんに着せたのがこのTシャツなのです。
ご主人としてはこの頃のナナさんの苦しんでいる姿を写真におさめることができなかったそうで、ナナさんがこの服を着た写真は残っていません。
かわりにオイラが着させていただきました。
ご主人は懐かしいような、胸苦しいような複雑な表情でシャッターを切っていました。
