イサナは毎日毎日あの子にご飯を運んでいました。
賢いあの子はイサナの足音を覚えてしまいました。
イサナの足音がすると、遠くからお迎えに来ました。
トコトコと歩いて、甘えた声で鳴きながら・・・・
そしてイサナを引き連れて、四阿へ向かうのです。
四阿でご飯を食べるのが、あの子のルールだったから。
私たちは可愛いあの子に、シルヴィという名前を付けました。
美しい銀色の毛並みの持ち主だったからです。
そしてシルヴィを保護して手術して、新しい家族を探すつもりでした。
でも私たちより先に、誰かがシルヴィに手術をしてくれました。
誰がやってくださったのか分からず、私たちは戸惑いました。
このまま勝手に保護してよいものかと・・・・
私たちは最終的に保護を決めました。
12月15日の日曜日、私たちはシルヴィのいる公園へと向かいました。
でもそこにシルヴィの姿はありませんでした。
イサナはその後も、あの子のいた公園に通っています。
でもあの日以来、イサナがシルヴィに出会うことはありませんでした。
おそらくあの子は、どこかの誰かに保護され、家族として
可愛がられているのでしょう。
その可能性が高いと思っています。
今我が家にはあの子のために用意した新品のケージが、
荷を解かれることもなく、転がっています。
このケージを使ってもらえなかったね、シルヴィ。
どこかで幸せにしているの?シルヴィ。
さよならも言えなかったね、シルヴィ。いなくなる前日にイサナが撮ったシルヴィの写真です。