1998年10月20日、あの子は『生きたい』と大きな声で叫んだ。
その異様な声は、私の耳に届き、あの子は死の淵から自分の力で這い上がった。
あれはポンの『生命の叫び』だったんだね。何故かゴミ箱の下がお気に入りだった仔猫時代のポン その日は小雨が降っていました。
出勤途上の私の耳に、ソレはいきなり飛び込んできたのです。
異様な声で、とても仔猫のものとは思えませんでした。
声の主を探してみると、それはそれは哀れな仔猫・・・・
両の目は目やにでふさがり、腹部はポンポンに膨れ上がっていました。
それが私とポンとの出会い・・・・
あまりに哀れで、その後のことなど全く考えもしないで、私は家までポンを連れ帰ってしまいました。
連れ帰ったものの、我が家で飼うことには躊躇いがありました。
前年にチョロを保護したばかりでしたし、マリは大病を患ったばかりで非常に弱っていたからです。
この上もう一匹・・・・家族の誰もが無理だと思いました。
でも結局ポンは我が家の子になりました。
みんなあの子の愛らしさに魅了されてしまったのです。
特に『声無しのニャーオ』には参りました。
家族を魅了した愛らしいポン。
枕の上でキョトンとしています。 そして私たちはこの8年間、あの子から沢山の幸せをもらいました。
あの日、あの子の叫びを無視していたら、この幸せはなかったのです。
父が言いました。
ポンが亡くなったのは残念だけど考え方だと・・・・
拾わなければそのまま死んでいたことを思えば、8年間幸せに過ごしたのだから、と。
ポン、お前は幸せだった?うちで楽しく暮らしてた?
そうなら私はとっても嬉しいよ。
お前の叫びを受け止めて本当に良かった!って思えるよ。